2011年5月11日水曜日

来るべき首都の地震に備えて                ~東日本大震災と原発災害に学ぶこと~


坂巻 幸雄 日本科学者会議災害問題研究委員会

「被害は困るが、震度5くらいが一度来たほうが良いかもね。」
 防災問題に関心を持つ研究者と市民の小さな集まりの中で、半分冗談・半分本気で語られていた言葉です。都民大多数が防災に無関心ななか、「予行演習が必要だ」という危機感からの言葉でした.

 2011311日、その「東京・震度5強」が現実に東日本を襲いました。但し、願望とは異なって、悲惨な被害とともに。あまりのすさまじさに、被災地調査で「惨状」には慣れている私たちも声が出ませんでした。東北の被災地にとっては、869(貞観11)年のM8.3級以来、1000年以上例を見なかった規模でした。

 都内でも犠牲者が出ましたし、窓ガラスが割れたり、本棚が倒れたりといった小被害も
頻発、中でも低湿地に起こった地盤の液状化が顕著でした。特に、前々から私たちが警告
していた、 江東区豊洲の築地市場移転予定地では、40haの敷地内の約90箇所で、液状化
に伴う噴砂現象が発生したのでした。

 液状化とは、強震動で地中の砂粒子と、その間隙に含まれていた水分が分離、泥水化し
て土砂が噴き上げる現象。地盤の支持力が失われるために、構造物が沈み込んだり、浮き
上がったりしますが、豊洲ではそれらに加えて、地下に埋め殺されたベンゼン・シアン・
砥素などの化学汚染物質が、生鮮食品を扱う地表に吹き上がる、「二重の災厄」が強く懸
念されるのです。しかも、今後現存構造物の耐用期限内に、首都圏に被害をもたらすもの
としては、房総沖・首都直下・東海と、性格を異にする3種類の地震が予想されているの
ですから、穏やかではありません。

 私たちは、市場の豊洲移転計画を強く批判し、撤回を求めて来ましたが、都は、「対策
工事をしてない現況での液状化は当たり前。工事をすれば安全になる。」「一流の学者が大
丈夫と言っているから大丈夫。」と繰り返すだけで、まともな検討をしません。私はここ
に、原発問題と豊洲問題との危険な相似性を見ています。

 原発問題でも、批判派の市民や研究者から数多くの慎重論が出され、特に東北地方では
貞観地震から見た警告も出されていましたが、政・財・官・学の推進派は、「ためにする
議論だ」「原発推進は国策」「千年に一度の被災など問題外」という姿勢を崩さず、結果、今日の惨状を招きました。それらの人々は昨今、「日本は一つ」のスローガンに隠れて自己の責任をうやむやにしようと躍起ですが、同じ構図は豊洲問題にもハッキリ存在します。

 来たるべき直下地震の震度は6強、今回の比ではありません。豊洲のみならず都内広域
で被害は発生します。今度の知事選で、その指揮は石原氏が取ることになりましたが、「自分の身は、自分で守れ」という氏の哲学は、都民にとっては新たな人災の火種です。

 されば、ふだんから都政を鋭く監視し、要所要所できちんと発言して行く資質が、これからの私たちに重く課せられていることは、 疑う余地のない現実でしょう。

2011年5月2日月曜日

緊急学習会 「どうなる福島第一原発事故」

 3月11日に発生した巨大地震と津波は、東京電力福島第一原子力発電所を損壊し、放射能が噴出する深刻な事態となっている。しかも、綱渡りの対応で、いまだ事故を収束する目処が立っておらず、放射能汚染の拡散が続いている。避難の長期化農作物の被害、風評被害、水道汚染、夏の電力不足など、国民の怒りと不安が広がっている。「原発安全神話」を喧伝してきた東京電力と政府は、「混乱を避ける」との口実で、情報を秘匿したり、小出しにしていることが、国民の不安を増大させている。
 このような中で、緊急に学集会を開催することにしました。

「どうなる福島第一原発事故、どう守る国民の健康」(仮題)

 講 師:市川 富士夫(元日本原子力研究所研究員) 

 日 時: 519日(木)午後6時45分
から
 
 場 所: 東京労働会館7Fラパスホール
大塚駅南口下車徒歩6分

 主 催:東京地下鉄革新懇、後援;東京革新懇

 問合先:東京革新懇 ℡ 03-3947-7901